経営再建中のシャープは26日、傘下入りを決めた台湾の鴻海(ホンハイ)精密工業との契約締結に向け、最終調整を進めた。シャープの高橋興三社長が同日、中国南部の深センを訪れ、鴻海の郭台銘会長と会談。鴻海はシャープが提出した財務情報を精査するため契約を保留しており、トップ会談で打開を図る。鴻海側の提案の有効期限の29日までの決着を目指す。
シャープは26日午後に「潜在的なリスクの確認など最終契約に向けて協議している」と発表。将来発生する可能性がある3000億円を超えるとみられる「偶発債務」については「会計基準に基づき、適切に開示している」としたが、基準に満たない財務上のさまざまなリスクも議題に上がっているもようだ。
シャープは25日の取締役会で鴻海からの支援案の受け入れを決定し、鴻海を引受先とする4890億円の増資を実施すると発表した。一方、鴻海側はシャープから24日に受け取った偶発債務リストとみられる文書を精査するため、調印を保留することを明らかにしていた。
鴻海が契約を留保したことを受け、26日の東京株式市場ではシャープの株価が大幅続落した。終値は前日比17円(11.4%)安の132円。一時、24円(16.1%)安の125円まで下げた。経営再建の遅れを嫌気する売りが広がったためだ。シャープは鴻海に対し、1株118円で第三者割当増資を実施する方針。1株当たりの価値が希薄化する懸念もある。大手証券のアナリストは「そもそも1株118円という設定が低すぎるという見方が多い」と指摘した。