日本を代表する電機メーカーの一つであるシャープが、台湾の鴻海精密工業に買収されることになった。シャープの“身売り”は、デジタル化の進展や新興国メーカーの台頭で収益の確保が難しくなるなど、国内の家電産業が曲がり角を迎えたことを象徴する。外資の傘下で経営改革を成し遂げるモデルケースになれるか注目される。
家電分野に450億円
シャープが25日発表した調達資金の使途によると、家電分野では450億円を投資。人工知能を使ったコミュニケーションロボットや液晶テレビなどの新商品を開発するほか、白物家電では新興国向けの商品を拡充するため金型に資金を投じるという。業績悪化の主因は液晶事業の不振だが、家電もそれをカバーできるほどの収益を上げられていなかった。同社は「当社の主力事業として安定的な収益を生み出す事業体への変革をはかる」と、強化を打ち出した。
今回、支援案が退けられた産業革新機構は「新しい商品を生み出す力がある」(幹部)として、シャープの家電を高く評価していた。