■有機ELに2000億円投資 技術流出防止策も構築
経営再建中のシャープは25日、台湾の鴻海(ホンハイ)精密工業がシャープ株式の約66%を取得することで、傘下に入ると発表した。鴻海が5000億円弱の増資を引き受ける。シャープは2000億円を次世代パネルの有機ELの技術開発に充てる。中型液晶には1000億円を投じ、技術開発を加速する。同日午後に開示した資料で明らかにした。
シャープが求めてきた雇用維持や事業の一体的な運営については、鴻海側から「力強い約束を得た」と記した。支援受け入れを決定した理由は「成長していくために必要な資金の手当てが可能となるとともに、財務体質の改善に大きく貢献する」と説明した。買収による技術流出への懸念について「開発、製造機能を国内に維持し、流出防止のための実効的な手段を構築する」とした。
支援をめぐっては、政府系ファンドの産業革新機構が名乗りを上げ、シャープへの出資を軸に各事業を同業他社と再編する構想を描いた。同機構は同日、「取締役の各位が議論し、最終的な判断を下した結果と理解している。鴻海の下でシャープがさらに成長することを願っている」とのコメントを出した。
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鴻海は25日夕、シャープへの支援で声明を発表し「明白にすべき内容」がなお残っているとして、シャープ側に速やかな回答を求めた。(台北 共同)