台湾の鴻海精密工業は電子機器の受託製造サービス(EMS)世界最大手で、米アップルとの取引により急成長を遂げてきた。2015年の売上高は速報値で前年比6%増の約4兆4800億台湾元(約15兆2千億円)で、09年と比べると2倍を超える。
鴻海はアップルが設計するスマートフォン「iPhone(アイフォーン)」や、タブレット端末「iPad(アイパッド)」を製造。アップル製品は、鴻海の売り上げの約半分を占めるとみられている。
生産拠点は、中国や中南米、東欧などに置く。広東省深●(=土へんに川)の主力工場では数十万人が働くとされ、従業員数は世界で100万人を超える。中国での景気鈍化や人件費高騰を受け、近年はインドでの工場建設を決めるなど新市場の開拓に注力している。
IT産業に詳しい台湾大の游張松教授は「鴻海はシャープを取り込むことで、アップル下請けの中での優位を固めたいのだ」と指摘。