冨山和彦・経営共創基盤最高経営責任者(CEO)の話
「再建には、シャープの価値を長期的に最大化できる処方箋(再建計画)とドクター(経営トップ)が必要だ。鴻海精密工業の郭台銘会長は、強烈なトップダウンで再建を進められる人材だろう。しかしシャープ経営陣の続投や、既存事業を維持する約束には疑問を感じる。すでに社会的役割を終えた企業体を再生するには、事業の解体や人材の入れ替えを行う“外科手術”が避けられない。企業再生においても『良薬は口に苦し』だ。“甘い薬”を提示した鴻海の本音が見えない。経営面でも、受託製造業である鴻海と最終製品メーカーのシャープの垂直統合モデルは、米アップルなど顧客企業との競合につながる恐れがある」