経営不振のシャープに続き、不正会計問題で揺れる東芝までもが離脱し、横並びの統一交渉が早くも崩れ、波乱の様相を呈している電機業界の2016年春闘。中国経済の減速や金融市場の混乱など、事業環境の悪化に経営側は身構えており、3年連続のベア獲得を目指す労働側との交渉は厳しさを増しそうだ。電機連合の有野正治中央執行委員長と、日立製作所で労務を担当する中畑英信執行役常務に、交渉の争点などを聞いた。
□電機連合 有野正治・中央執行委員長
■ベア、3年連続が必須
--東芝労組の離脱による統一交渉への影響は
「東芝の復活は労使双方にとって社会的責任だ。電機産業全体、日本全体のためにも、一刻も早く復活してほしい。東芝の離脱を逆手にとって、厳しい条件を迫る経営者がいるとしたら、その資質を疑う。業績格差があるからこそ、統一交渉を行う意義がある」
--中国景気の減速、円高株安で経営の先行きが不透明な中、企業の固定費増加につながるベアを要求する
「電機産業は今後大幅な売上高増が見込めない他、大きな市場は海外にある。あらゆるモノをインターネットで結ぶ『IoT』の導入や人材不足など課題は山積するが、電機産業の社会的責任には経営側も一定の理解を示していると思う」