2016.1.7 05:00
パチンコ店の内装工事を手掛ける山口工務店が昨年12月11日、東京地裁に破産を申請し同日、破産開始決定を受けた。
パチンコ台を並べる土台部分の工事(いわゆる「島工事」)を手掛け、ピーク時は約25億円の完工高をあげていた。島工事の特性上、同じ規格を使い回せることで在庫管理などの必要がほとんどなかった。一方、仕入れや人件費、外注費など支出は事業拡大に伴い増大したが、どんぶり勘定に近い経営体質でもずさんな原価管理が表面化することはなかった。
1994年頃からパチンコ業界は女性客をターゲットにする店舗設計が増加。各種機器の自動化など多様化も進み、従来の統一規格では対応できずコストが膨らむ中、山口工務店は受注減少から事業規模が縮小した。
警察庁の統計によると、パチンコ店舗数は2014年に1万1627店と、この10年で約4割(36.2%減)も減少。射幸性の強いパチスロ4号機に対する規制が強化され、パチスロ人口の大幅な減少で業況悪化に歯止めが掛からなかった。
厳しい資金繰りで金融機関からの借入金が増え、08年5月期の有利子負債は9億4561万円と、売上高5億9922万円を大きく上回っていた。
その後も受注は低迷。創業者の山口前社長が12年12月に亡くなり、後を受けて新たに社長を引き継いだ山口栄子社長だったが、社内のコントロールは難しく、山口工務店の経営はさらに悪化した。主力取引先のA社からの前受金と金融機関からの借入金で資金繰りを何とか支えていたが、資金繰りは自転車操業に陥っていった。