【遊技産業の視点 Weekly View】 (1/2ページ)

2015.12.26 05:00

 □ぱちんこジャーナリスト、LOGOSインテリジェンスパートナー・POKKA吉田

 ■ぱちんこ屋の中は「特殊な人混み空間」

 ぱちんこ屋の中は、ちょっと異質な現場である。地域ごとに集客範囲がある程度あるため常連客にとっては良いコミュニケーションの場となるが、出掛けた先に時間ができてフラッと行けば、そこは知り合いが誰もいない場だ。しかし、目的が着席した向かいの遊技機の出る出ないであるから、基本的には他の客とのコミュニケーションを取る必要もない。しかし、都心部になればその傾向は強いが、隣の客とはパーソナルスペースを侵害し合うほどに接近している。かといって、必要もないのに会話は発生しない。

 これが映画やコンサートなら観賞対象は皆共通のものとなる。特に隣近所と会話が発生しなくても感動すればなにやら一体感というのが生まれる。しかしぱちんこの場合、めでたく大量出玉を獲得したとしても、それは個人個人の結果。友人らと連れだって打ちに行ったというのでなければ一体感も生まれようがない。そもそもいつ打ち始めていつやめるかは個人個人が勝手に決めることができる。あれだけ狭い空間にたくさんの人がいながら、もともと成立しているコミュニティーの人間を除けば交わることのない他人の集団の中で独り遊ぶ、という現場なのだ。

 これは良いとか悪いとかの話ではない。例えるなら街の人混みに近い。人混みはそれぞれの人が歩くため動くし皆目的地が違う。しかしぱちんこの場合は、消費したければそこに滞在する。パーソナルスペースの侵害とたばこの煙に慣れさえすればそこは「じっと座ることのできる他人の集団の中、人混みのようなもの」である。

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