□ホールマーケティングコンサルタント・LOGOSプロジェクト上級研究員 岸本正一
射幸性の抑制などに対応した業界環境のシフトにより、遊技機市場は中長期的にはパチンコ遊技の“マイルド化”に流れる気配が濃厚だ。機械の詳細はさておき、ホールマーケティングに携わる者としては、曖昧な表現であってもこのような大きな潮流を意識しておかなければならない。なぜなら、遊技頻度が高く、4円パチンコ・マックスタイプを中心に遊ぶ「金額的ヘビーユーザー」が将来的にマーケットから離脱することが懸念されるからだ。
問題は、プレーヤーにこのトレンドをどのように伝えるかという点にある。射幸性という観点から見れば、このトレンドを「後退」と感じる人は少なくないだろう。だが、大衆娯楽という点からは「進化」と捉えることもできる。異なる視点から見れば、異なる表現が生まれる。産業の生き残りを考えた場合、このトレンドを「進化」や「発展」というポジティブなイメージで、プレーヤーに刷り込んでいかなくてはならない。
例えば自動車業界。「いつかはクラウン」と言われていた時代から、機能性と燃費を売りにした「コンパクトカー」の時代にそのトレンドは移行した。コンパクトカーブームの火付け役は「クラウン」と同じTOYOTAの「ヴィッツ」だと筆者は理解しているのだが、“高級車になりきれない大衆車”という位置付けではなく、「コンパクトカー」という独自の存在感を醸し出し大成功したプロジェクトを、現在のホール業界は大いに参考にすべきだろう。