2年に1度の自動車の祭典「東京モーターショー2015」が、8日に幕を閉じる。自動車各社が最新技術を駆使した自動運転車やエコカーをアピールする中、ひと際注目を集めたのが、次世代ロータリーエンジンを搭載するスポーツカー「RX-VISION」。マツダはいまでこそ快進撃を続けているが、ほんの数年前まで深刻な業績低迷を経験。販売・マーケティング担当の毛籠勝弘常務執行役員は来場者に向けて、過去の営業方針を反省して「皆様に選ばれ続けるブランドを構築する」などと今後のビジョンを語った。(文・カメラ 大竹信生)
「何が悪いのか分からなかった」
マツダは2009年に、優れた環境性能や「走る歓び」の提供を目指して、すべての技術や部品をゼロから新規開発する「スカイアクティブ・テクノロジー」を発表。徐々にクリーンディーゼルエンジンが世間に浸透するなど、ここ数年は販売好調が続き、5日に発表した15年9月中間連結決算では過去最高益を更新した。しかし、2001年に大規模のリストラを敢行するなど、現在の“黄金期”を築くまでに何度も低迷期を味わった。
毛籠氏は過去の不振をこう振り返る。「どの自動車メーカーも当然、新車をたくさん売りたいと思うんです。我々も広島の企業ですが、他社に負けずにクルマを売ってもっと大きくなりたいと思っていました。ただ、いい商品は出るけれど長続きしない。入社以来、ずっと経営の浮沈の繰り返しに悩まされました。何が悪いのか分からない時期があったんです」。