□岸本正一・ホールマーケティングコンサルタントLOGOSプロジェクト上級研究員
数年前まで、多くの人はコンビニの駐車場で若者が弁当やスナックを食べている姿を見苦しく感じていたのではないだろうか。しかしながら現在、コンビニ業界では店舗のイート・イン化が進行している。小売店として存在してきたコンビニが、飲食のできる場所を店内に設けることで、飲食店としての機能も同時に果たし始めている。
この現象を筆者は、潜在的ニーズをうまくビジネスモデル化した好例とみている。コンビニの駐車場で弁当を食べていた彼らのニーズ自体は切なるものであり、当時は単にそのような行動をとることに対する一般的抵抗感の方が勝っていただけの話だろう。
注目すべきは一見、社会的批判にさらされそうなこのような行為を、見苦しいというだけで片付けず、そこにニーズの存在を見いだしたところにある。
わがパチンコ業界も、社会的批判にさらされることが少なくない。騒音、たばこなどの具体的問題をはじめ、品がないなどの感情的意見も耳にする。しかしながら一方で、パチンコを全く知らないという人にはあまりお目にかからない。縁日の屋台やゲームセンターでのパチンコ機との接触を含めて考えると、広く認知されているのではないかと感じてしまう。
単純だが、誰でも簡単に楽しめる遊技性に加え、玉を増やそうとするこのゲーム自体の面白さには潜在的ニーズが存在している。課題は、パチンコというゲームの面白さに対するニーズや認知を、コンビニのイート・イン・モデルのように業界が抱える諸問題に向き合った上でうまく解決できるかどうかにある。
現在の遊技環境を「うるさい、臭い」と思いこんでいる人々が多いのも事実。感情論により、パチンコの面白さに対するニーズや認知までもが否定されることは好ましくない。