□ワールド・ワイズ・ジャパン代表LOGOSプロジェクト主幹 濱口理佳
■危険な「依存」の独り歩き
神戸市がパチンコやマージャン、カジノゲームをさせるデイサービス施設の指定を認めない方針を示した。兵庫県もこれに追随するという。神戸市においては、介護保険法の趣旨を逸脱するサービスと判断したとし、9月市議会に関連条例の一部改正案を提出する。
トランプを使い、足し算をして合計21に近づけるブラックジャックや、玉の動きを目で追ったり、ストップボタンを押す動きを伴うパチンコ・パチスロ遊技は、昨今、認知症予防に効果をもたらすものとして高齢者施設のリハビリやデイサービスの一環として活用されつつある。実際、私も施設に取材に行き、いきいきとした表情でゲームに興じる高齢者を目の当たりにした。
報道を見ると「自立した日常生活を営むという介護保険法の考え方に反するとして規制を決めた」とのことで、疑似通貨などの使用を、射幸心をそそり依存性が強くなる恐れがあると位置づけた。
誤解を恐れずにいえば、この神戸市長、老人が健康に過ごせること以前に、「依存」を懸念しているということだ。何よりも、「依存」という言葉が勘違いされたまま流布している様子がうかがえる。
「依存=悪」では決してない、人間は誰もが何かに依存して生きているという基本的な「意味」がないがしろにされ、「依存→ギャンブル依存→依存自体がダメなもの」というロジックが、こんなところにまで使われ始めた。実際、自分自身がコントロールできなくなり、周りに迷惑をかけるほどの極度な依存が問題なだけだ。適度な「依存」は人生を快適に過ごすためにも必要なファクターといっても過言ではない。