2015.8.19 06:23
東芝が利益水増し問題を受けて構築する新経営体制の柱は、社外取締役を活用し、経営を執行する社長らを監督する機能を強化することだ。不祥事発覚前の取締役で続投が決まっているのは室町正志社長と社外取締役の伊丹敬之東京理科大教授(経営刷新委員会委員長)の2人だけで、メンバーを大幅に入れ替え、経営刷新を図る。もっとも新体制は再生への最初の一歩にすぎず、問題発生の要因の一つとされた社内風土の改革などが課題になる。
先月21日に田中久雄社長(当時)や副社長4人らが会社を去った東芝。室町会長(同)も一緒に辞める意向を示していたが「残る方がつらいだろうが、絶対に辞めないでくれ」と慰留したのが、元社長で相談役の西室泰三・日本郵政社長だった。政財界に顔が利き、いまなお社内で「スーパートップ」と呼ばれる存在だ。戦後70年談話に関する有識者会議の座長も務めていた西室氏は、安倍晋三首相にも「東芝は責任を持って再生させます」と告げた。
50年前に石川島播磨重工業(現IHI)からきた土光敏夫社長が立て直したという前例がある東芝だが、西室氏は当初から、外部招聘(しょうへい)には否定的だった。原子力から家電まで事業が多岐にわたる同社では、社内事情に通じていない人材では経営できないという確信からだ。