2006年に制定された「住生活基本法」に基づく住生活基本計画の見直し作業が今年4月から始まった。年内に改定案をまとめ、来年3月に閣議決定を予定している。
高度経済成長期に大都市への人口集中による住宅不足を解消するために「住宅建設計画法」が制定されたのは、前回の東京五輪の2年後の1966年。それから同法が廃止されるまでの40年間で累計5500万戸(年平均137万戸)の住宅が建設され、世帯数を大きく上回る住宅ストックが形成された。代わって住生活基本法が制定されたのはストック重視の住宅政策へ転換を図るためだ。
国土交通省では、今回の住生活基本計画の見直しで「既存住宅ストックの活用促進を軸とした新たな住宅政策」への転換を明確に打ち出したい考えだ。既存住宅の維持・管理、リフォームによる質向上、空き家を含むストックの活用促進、不良な住宅の除却の促進、そして良質な住宅の建て替えまでの「住宅ストックのマネージメントシステム」をどう確立するか。住宅産業が新築中心からストック重視のビジネスモデルへと構造改革できるかにかかっている。
筆者が最も注目しているのがマンション専業デベロッパー最大手の大京だ。2006年までの29年間、新築供給業界トップとしてマンション市場を牽引(けんいん)してきたが、08年のリーマン・ショックを機に着々と構造改革を進めている。14年の事業主別供給戸数(不動産経済研究所調べ)は2018戸と現在でも全国8位に位置するが、すでにストックとフロー(新築)の売上高は逆転。過去の栄光に固執するのではなく、今後はストックとフローのバランス重視で事業を展開していく考えだ。
マンション専業デベは、土地を仕入れてゼネコンが建設中に顧客を獲得して売り切る回転率が勝負。大量供給には適したビジネスモデルだった。しかし、リーマン・ショック後の08年12月にダイヤ建設、09年11月に穴吹工務店が倒産。11年1月に藤和不動産を吸収して三菱地所レジデンスが発足し、13年6月にコスモスイニシアも大和ハウス工業の子会社になるなど業界構造が激変した。