三菱自動車は13日から、本社の勤務時間を30分前倒しする。長時間労働の抑制や生産性向上を目的に、政府が夏の朝型勤務を呼びかけていることに対応する。自動車業界では部品大手のデンソーも1日から朝型勤務を始めた。導入した企業では人件費低減などの効果も出ており、働き方を見直す動きが相次いでいる。
三菱自は13日から9月末まで、東京本社に勤務する約1800人を対象に勤務時間を通常より30分早め、始業を午前8時15分、終業を午後5時15分にする。
政府が働き方の改革として、勤務時間を朝型にシフトする「ゆう活」を推進していることに呼応。夕方以降の時間を育児や趣味などに充ててもらう。
デンソーも1日から9月末まで朝型勤務を実施。愛知県刈谷市の本社の約1万3千人を対象に、定時の午前8時40分より1時間早い出社を呼びかけている。期間中は食堂で朝食を無料化するとともに、午後8時以降の残業を原則禁じている。有馬浩二社長は「(仕事に)めりはりをつけ、働き方の変革を進めたい」と話す。効果を検証し他の事業所への展開も検討する。
国内企業では、伊藤忠商事が昨年から朝型勤務を正式導入、午後8時以降の残業を原則禁止した。残業代のほか、電気料金の削減などの効果もあったという。
ただ、朝型勤務を導入しても退社が遅くなれば結果的に長時間労働につながる。子供を保育所に預かってもらう社員は早朝の出社が難しい場合もあるなど、課題も指摘されている。