2015.7.8 05:00
「英語が話せるようになりたいです。どうしたらいいですか?」ある日、高校生が相談にやってきました。そんな彼に「夏休みはどうだった?」と聞くと、答えは「普通っすね」。「テストはどうだった?」と聞けば「普通っすね」。私たちの英語レッスンは、まずは日本語で、彼の意味する「普通」をひもとくところから始まりました。「普通」を丁寧に聞いていってみると「ハリーポッターが好きで映画を見たこと。いつかは原書で読んでみたいこと。英語のテストは苦手だけど、会話は楽しいと思っていること」などが分かってきました。
「普通」といえば、思い出す話がもうひとつあります。ある寒い冬の夜、温かいスープが飲みたいと思い、スープを作りました。食卓に熱々のスープを出すと、いきなりスプーンにすくって「食べよう」としたカナダ人の夫は、口の中を思いきり、やけどしてしまいました。
そこで、夫と私との「普通」対決が勃発しました。「普通、こんな熱いもの食べられるわけがないんだから、もっと冷ましてから出すでしょ?」と夫。「冷めたらおいしくないと思って。普通、飲む前に熱いかどうか確かめるでしょ?」と私。自分の「普通」は、相手の「普通」ではないんだなあと実感した瞬間です。