□大正商事代表取締役社長、LOGOSフェローメンバー・三枝和哉
■いろいろな可能性で「パチンコ」を見る
ファンが大幅に減少したと、ここしばらく業界ではよく言われる。レジャー白書のデータを見る限り、確かにピーク時の3000万人から3分の1以下の970万人まで低下した。この状況に危機感を抱き、業界を挙げてのファン拡大策を講じる動きも確認されている。
ただ、この現象はパチンコ業界に限ったことではなく、旧来からある他のレジャーにおいても同様だ。
パチンコはかつて戦後の娯楽のない世情を背景に大衆娯楽として普及していった。その当時から昭和の中期にかけては娯楽の種類も少なく、映画、遊園地、パチンコとその選択肢も限られていた。それが現在、インターネットやモバイルゲームにとどまらず、さまざまな余暇を過ごす手段がある。ゴルフでさえ手軽で身近になった。決して、業界の中の問題だけで市場がシュリンクしたわけではない。そのことを理解した上で、産業としてファンを拡大していくにはどうすべきか、実効的な策を練る必要がある。
一方、社会的認知の向上も業界の命題として掲げられている。この実現に向け、地道に社会貢献活動が継続展開されているが、産業イメージは低迷したままだ。社会にその活動を理解してもらえるような「目に見えた貢献」をしなければ、認知は進まないだろう。