不適切会計問題で揺れる東芝の定時株主総会が25日開かれ、田中久雄社長は問題発覚の契機が2月12日に証券取引等監視委員会から受けた報告命令だったことを明らかにした。公表まで2カ月近くかかったことになる。会社側は調査中のテレビ、半導体、パソコンの3分野それぞれで、不適切な会計処理があったことを示唆。株主からは経営陣への批判や退任要求が相次いだ。田中社長は「創業以来最大の危機」にあるとの認識を示した上で、社外取締役増員などの企業統治(コーポレートガバナンス)強化で再発防止を図ると説明した。暫定的な役員再任議案は承認されたが、信頼回復への道のりは険しそうだ。
総会は東京都墨田区の両国国技館で開催。田中社長は問題の発覚から4月3日の公表まで時間がかかったことについて、「当局から開示検査を受けていることの公表を控えるよう要請されていた」と釈明した。
監視委が問題を把握した経緯については、東芝の関係者がフジサンケイビジネスアイの取材に対して、社内から通報があったとの見方を示している。田中社長は「告発の有無は当社が回答する立場にない」と明言を避けたが、この関係者は「不適切会計の額が500億円規模と大きく、財務情報に精通した社員が告発した可能性が高い」とみている。