携帯電話機やスマートフォン市場から日本の大手電機メーカーが相次ぎ撤退する傍らで、徹底して“日本品質”にこだわるベンチャー企業がある。「freetel」ブランドの端末事業などを展開するプラスワン・マーケティング。同社はいま、“日本のモノづくり”が培ってきた世界最高水準の品質をまとう端末機器を武器に、世界のスマホ市場に挑もうとしている。
題して“サムライプロジェクト”。増田薫社長が「一度の人生だから、どうしてもこれだけはやりたい」と熱望してきた挑戦でもある。
同社は現在、米グーグルのOS(基本ソフト)「アンドロイド」を搭載するスマートフォンを普及機から高性能モデルまで複数用意しているほか、従来型の携帯電話機もラインアップ。米マイクロソフトのOS「ウィンドウズ」搭載端末についても複数用意する方向で開発を進めている。
生産については、全世界のスマホ生産の80%が集中する中国・深センの工場に委託してきた。“サムライプロジェクト”は、この委託先の工場で始まっている。すでに、日本の大手電機メーカーで生産・品質管理を手掛けてきたエキスパートを社外取締役などに迎え、知見を得た。現地での指導も徹底した。全工程をプラスワン・マーケティングの社員が主導的に実施し、“国内の自社工場で生産するのと同じ環境”を実現した。
もちろん、投入されている品質向上手法は、日本の製造業が蓄積したきた“お家芸”の数々。“カイゼン”をはじめとする“秘伝のノウハウ”を投入し、徹底した“日本品質”の再現に執念を燃やす。
増田社長は、ソフト会社のソースネクスト、パソコンメーカーのレノボジャパン、デルを経てプラスワン・マーケティングを設立した。デル時代にはスマホなどのモバイル機器ビジネスにも携わったが、その後デルは同分野からの撤退を表明。「それなら自分たちで理想の端末をつくろう」(同)と起業の道を選んだ。