【遊技産業の視点 Weekly View】 (1/2ページ)

2015.6.20 05:00

 □ホールマーケティングコンサルタント LOGOSプロジェクト上級研究員・岸本正一

 ■「客離れ」に痛みを感じることが重要

 「遊技参加人口の減少」という言葉は事実を表現しているにもかかわらず、そこに業界関係者にとって激しい痛みを感じさせない不思議な“オブラート感”がある。

 たとえば、飲食店の場合「最近、味が落ちたね」などといわれて客が減るとどうだろう。店主は、悪い評判が立っているのではないかと心配したり、なんとかして客を取り戻そうと躍起になる。何より商売人のプライドがこれを許さない。客を失うという事象に対し、店主が直接、激しい痛みを感じるからだろう。

 装置産業とも言われるパチンコ業界は、事業者は遊技機という装置を介して顧客と対面する。従って、顧客の評価も遊技機を介したものになる。「負けてばっかりじゃねえか」と立腹されても、大当たりするかどうかは遊技機任せだ。これを自店に対する批判だと感じにくい。

 そのため、「遊技参加人口の減少」という現象は全国津々浦々のパチンコ店で、パチンコに「NO!」という答えを出した元パチンコファンの声のサマリーであるのに、業界が抱える構造的問題が原因の根幹であるかのように感じてしまいがちだ。

 もちろん、業界構造には改善すべき点が多々あるだろう。だが、自店に対して「最近、味が落ちたね」と言われるに等しい状況が生まれていることに痛みを感じないようになってしまっては、ファンの呼び戻しはもちろん、新たな顧客の開拓などできるはずもない。

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