三菱東京UFJ銀行は18日、人民元建て債券を国内で初めて発行することを決めた。月内に3・5億元(約70億円)を調達する。日中財務対話の再開などを受けて発行の環境が整ったと判断した。中国政府にとっては、人民元の国際化を進める思惑もある。
三菱UFJが今回発行する人民元債は、生命保険会社や地方銀行など国内機関投資家向けの私募債で、償還期間は2年。香港で発行される人民元債(愛称・点心債)は2年物が3%台の利回りのため、同程度の水準となりそう。
日本国内で発行する人民元債の愛称としては「フジヤマ債」などが候補に挙がっている。
三菱UFJは昨春、10億元の点心債を発行している。日本国内での人民元債発行で人民元の入手手段を増やし、調達コストの引き下げや中国に進出した取引先企業向けの貸し出し強化を狙う。
東京市場での人民元債の発行は日中両国の懸案だったが、沖縄・尖閣諸島の国有化などで日中関係が悪化したため、一度も発行できなかった。だが、3年2カ月ぶりに日中財務対話が再開されるなど、経済分野で日中関係の改善を探る動きが広がり、発行に向けた条件が整った。