【「休眠預金」を考える】(下)投融資で事業拡大・地方創生後押し (1/3ページ)

2015.5.29 05:00

 □石川和男・NPO法人社会保障経済研究所代表

 前回も述べたが、日本も含めて財政事情の厳しい国では、全ての社会的課題を公的資金だけで解決することが困難である。

 そこで考え出された手法の一つが「休眠預金」の活用で、日本では2014年4月に超党派の「休眠預金活用推進議員連盟」が発足し、早ければ今国会に関連法案が提出される予定となっている。

 同議連が固めた法案骨子によると、休眠預金は預金保険機構に移管された後、同機構が国が指定する「指定活用団体」に交付した上で、目利きの役割をする団体を通じて社会福祉分野など公共性の高い活動を行う非営利団体に分配される。

 この法案骨子に対し、3つのことを提言したい。

 第1に、預金者の保護について。休眠預金は預金者の財産であり、預金者から返還請求があれば金融機関を通じて応じることになる。諸外国では、休眠口座の検索システムに氏名や住所を入力すれば、預金者が休眠預金を確認できる。

 日本でも同様のシステムを導入する必要がある。16年1月に本格導入される「マイナンバー」と連携すれば利便性がより高まるだろう。

 第2に、透明性・公益性・持続性の確保について。成果志向と言及はされているものの、指定活用団体の機能や資金提供先が明確ではない。返済不要の“補助金”としてだけ分配すると、限りある休眠預金は枯渇する。社会的課題の克服に係る評価手法を携えながらの「投融資」に振り分ければ、再投資による事業拡大も期待される。

 諸外国の事例を参考に、支援スキームに「投融資」あるいは投融資を行う中間支援組織への助成を一定額組み入れれば、持続的な資金循環を確保できる。

 投融資という手法に適する社会的事業者が日本にはまだ少ないという意見もある。ただ、利益は大きくなくとも、住み心地の良い社会環境という配当を得ることを求めるのが「社会的インパクト投資」だ。

産経デジタルサービス

産経アプリスタ

アプリやスマホの情報・レビューが満載。オススメアプリやiPhone・Androidの使いこなし術も楽しめます。

産経オンライン英会話

90%以上の受講生が継続。ISO認証取得で安心品質のマンツーマン英会話が毎日受講できて月5980円!《体験2回無料》

サイクリスト

ツール・ド・フランスから自転車通勤、ロードバイク試乗記まで、サイクリングのあらゆる楽しみを届けます。

ソナエ

自分らしく人生を仕上げる終活情報を提供。お墓のご相談には「産経ソナエ終活センター」が親身に対応します。