東芝の不適切会計問題で、同社の第三者委員会は本格的な調査に乗り出した。悪質さや経営陣の関与が焦点になる。過去にも、日本企業に東芝と同じ種類の会計処理で問題が起きたケースがある。東芝は早期に原因を究明し、市場の信頼を回復できるかが問われている。
東芝と共通点が指摘されているのが、重機大手IHIで平成19年に発覚したエネルギー・プラント事業での不適切会計だ。
背景に、工期の長い工事で進(しん)捗(ちょく)度合いによって収益や費用を各期に計上する会計処理の仕組み「工事進行基準」があった。同社は、当初見込んだコストダウンがうまくいかなかったにもかかわらず、費用の増加を適切に計上していなかった。
東芝も、この基準を用いた9件の工事に関して「原価総額が過少に見積もられていた」(田中久雄社長)ことが判明。この9件で23~25年度の営業利益に対し累計500億円強の減額修正要因になると発表した。