百貨店大手4社が1日発表した4月の既存店売上高(速報)は、全社が前年同月比2桁の伸び率となった。消費税が増税された昨年4月は前月までの駆け込み需要の反動減などが影響して低水準だったうえ、今年4月は中国人など外国人訪日客の「爆買い」が続いたことによる。
ただ一昨年4月と比べても、全社がプラスを確保しており、増税後の消費低迷から復調しつつある実態が浮き彫りとなってきた。
J・フロントリテイリングは前年同月比21.7%増と4社中最も大きな伸びを記録した。高島屋は16.7%増、三越伊勢丹は15.0%増、そごう・西武は12.2%増と続いた。
株高に伴う資産効果で、富裕層を中心に宝飾・時計、インテリアなどの高額品の販売が伸びたことが寄与した。また、中国人を中心に、花見に訪れる外国人観光客が増えたことで、食品などの売り上げも伸びた。J・フロントリテイリングの担当者は「訪日外国人への売上は前年同月の4倍以上増えた」という。 自動車や電機など製造業を中心に、4月から賃上げが相次いだことで「足元の客数は全般的に伸びている」(高島屋日本橋店の婦人靴売り場の担当者)。
各社の4月の既存店売上高は、客足増加で、一昨年の4月比でも三越伊勢丹が4.2%増、J・フロントリテイリングが3.1%増、高島屋が0.8%増、そごう・西武も微増と、全社が増収を確保している。
個人消費が今後も力強い回復基調をたどれるかは、一般家庭の消費意欲を、賃上げがどこまでくすぐれるかにかかってきそうだ。