新設住宅着工戸数が12カ月連続で前年割れが続く住宅市場で、富裕層の需要が堅調なことから高級ブランド商品を立ち上げる動きが相次いでいる。昨年秋から住友林業、大成建設ハウジング、スウェーデンハウスなどが高額の新商品を投入したほか、2009年4月に550万円のローコスト住宅(1坪=3.3平方メートル当たりの単価約30万円)を発売して話題になったアキュラホームでも今月から高級住宅市場に参入した。
これまで経済記者としてさまざまな住宅を取材してきたが、ローコスト住宅の方が記事は書きやすい。建築基準法などで定められた性能をいかに低価格で実現したかに焦点を当てれば良く、実際の質感なども一般的な住宅と比較してイメージしてもらいやすい。しかし、坪単価100万円を超える高額商品になると少々厄介だ。価格が高い理由に加えて、その価格が妥当であるかどうかをどう説明するか。消費者の価値観も千差万別で「高級」の定義は人それぞれだし、高額だから「高級」とも限らない。
住宅コストの内訳は大きく分けて直接工事費(材料費、労務費、仮設費など)+設計費+間接費である。このうち材料費、労務費、間接費が大きくコストに効いてくる。
優秀な建築士が時間をかけて設計し、腕の良い職人が最上級の材料を使って丁寧に仕上げれば、当然コストは高くなる。それが一般的な高級住宅のイメージだろう。
住宅メーカー各社が発売した高級住宅も、社内で選抜した建築士のデザイン力を高めたうえで富裕層の「こだわり」に応える自由設計型の商品である。外観に職人技の左官仕上げや石張りを採用したり、外国製システムキッチンや自然豊かな庭などを取り入れて高級感を出している。