日本マクドナルドホールディングス(HD)のサラ・カサノバ社長が16日に開いた2015年12月期の業績見通し会見では、異物混入問題を受けた新たな信頼回復策は示されず、引き続き経営陣が高額の報酬を受け取ることも明らかになった。客足が戻らず、現場が疲弊する中での当事者意識のない対応に、マック経営陣の「モラルハザード(倫理の欠如)」を指摘する声も出ている。
「さまざまな信頼回復策を講じていきたい」。この日の会見でカサノバ社長はこう強調したが、示された内容は“本気度”を疑わせるものばかりだった。
たとえば、信頼回復策として説明された「顧客の声を直接投稿できるスマートフォン用アプリを導入」といった項目は、いずれも3月に発表されたものばかり。カサノバ社長が言及した全国47都道府県を回り母親の意見を聞く取り組みも、2月6日に「行う」と発表して以降、3月下旬までの2カ月弱で3県にとどまるなどスローペースだ。法政大経営大学院の小川孔輔教授は「こうした姿勢は消費者に見透かされ、信頼回復にはつながっていない」と指摘する。