2015.4.2 05:00
北海道の良質な素材や名水百選に名を連ねる支笏湖(千歳市)の伏流水を使って和洋菓子とパンを製造する「もりもと」。地元にこだわって生まれた「千歳うまれのたまごまんじゅう」は、観光客のお土産やネット販売でリピーターが増え、今年2月には発売から1年3カ月で200万個の大台を超えるヒット商品となっている。
道内トップクラスの生産量を誇る千歳の卵を生かし、新鮮な卵の黄身をたっぷり加えた白あんをしっとりとした薄皮で包み、焼き上げた。新鮮な地元の素材を厳選し、こだわりの強い製品だったが、森本吉勝社長も「これだけ売れるとは」と目を細める。
◆給食のパンで飛躍
もりもとは和菓子職人だった父、吉雄さんが樺太から引き揚げ、親戚を頼って1947年に千歳市に移住、49年にベーカリーを創業したのがはじまりだ。自らパン焼き釜をレンガなどで作り上げた。「戦後まもない頃、配給制度の中で原料を集めるのが大変だった。父がパンを焼き、母がカゴに入れて売って歩いた」と思い出を語る。朝早くからパンを焼いていたので、焼き上がるパンの香りがメーンストリートの千歳駅前通りに広がり「もりもとパン通り」と言われるほど、評判になった。
64年に学校給食のパンを受注できたことが、飛躍のきっかけになった。「千歳の子供たちは給食にもりもとのパン、おやつにもりもとのお菓子で育った」と地元に密着して、事業を拡大していった。
パンの販売が順調に進む中、菓子でもヒット商品を生み出した。72年に発売した「雪鶴」は、ふわっとした食感のスポンジにクリーム、ハスカップジャムを挟んだ焼き菓子のブッセでロングセラー商品になった。さらに、近くに大型小売店が開業することが契機となり、78年から和洋菓子を強化。大型店の計画がわかった頃から首都圏のパン店や和洋菓子店などで、職人を2、3年修業させて、新製品を開発する技術を身につけさせた。