2015.2.27 05:00
汚泥やコーヒー粕を使った下水道バイオマス発電施設とそのボイラーを使った「足湯」。市民らの憩いの場となっている=富山県黒部市【拡大】
水事業の総合サービス「水ing」が手がける、下水汚泥のバイオマス発電や肥料原料のリン回収の委託事業が全国自治体で注目されている。これまで下水汚泥は埋め立て処分や業者による有料引き取りなど財政を圧迫するお荷物だった。だが、売電収入などにつながる宝の山に変えられると期待され、受託実績が増えている。
契機となったのが、富山県黒部市で下水道バイオマス発電施設の建設と運営管理を受託した全国初の下水道PFI(民間資金を活用した社会資本整備)事業だ。汚泥や生ゴミ、コーヒー粕を発酵させてメタンガスを発生させ、ガスタービン発電で約74世帯分の電気を賄う。2011年に完成した発電施設は出力95キロワットで、年間2万4000立方メートルの汚泥と2800立方メートルのコーヒー粕を処理する。
自治体は処理コストを削減できる上にガスの売却費や土地の貸付料などの収入増につながるほか、水ingも売電で収益をあげられる仕組みだ。発生した熱で沸かした湯を使った足湯も市民や観光客の憩いの場として人気スポットになっている。
黒部市の浄化センターには、同社が2000年代前半に開発したコーヒー粕と汚泥を使った高効率発電設備が活躍している。近隣の飲料メーカーの産業廃棄物だったコーヒー粕は、カロリーが高く汚泥と混ぜると高温発酵でガス発生量が増え、エネルギー効率が大幅に高まる。
コーヒー粕も産業廃棄物だったが、再生可能エネルギー固定価格買取制度を活用し、売電収入を生む“宝”に変わった。