家電製品の開発・販売を手がけてきたツインズが、まったく別の分野でヒットを飛ばしている。その商品とは「靴紐」。梶原隆司社長は「半分は個人的趣味の延長線上で生まれた」と語るが、今や家電と並ぶ立派な経営の柱に育ちつつある。
ツインズの靴紐「キャタピラン」は、装着するだけでスニーカーが脱ぎ履きしやすくなる画期的な商品だ。靴紐に丸いこぶがいくつもついていて、ゴムのように伸縮。引っ張るとこぶが消え、緩むと復活する。8本のゴムと16本のナイロンを、特殊な製法で編み込んでいるのだという。
よくマラソンなどで靴紐がほどけたり、靴がすっぽ抜けたりしてしまうことがあるが、キャタピランを使えばこぶがストッパーの役目を果たし、ほとんどその心配がなくなる。一方、脱ぎ履きする際には、いちいちほどく必要がないためとても便利だ。伸縮性に優れているため、長時間走って足がむくんでも、常に一定のホールド力を保つ。価格も980円と手頃だ。
同社がキャタピランの販売を始めたのは2013年3月。テレビ番組で取り上げられたこともあり、それから1年半がたった昨年12月には、早くも累計100万本の販売を達成した。
同社は1999年設立。当初は調理家電や季節家電を開発し、OEM(相手先ブランドによる生産)で納めていた。中国の工場に生産を委託したため、「当初の社員は自分と妻の2人だけだった」という。
OEMビジネスは、顧客が市場から撤退した場合に売り上げが吹き飛ぶ恐れがある。そこで3年後には自社ブランド「ツインズ」を立ち上げ、大手家電量販店やテレビ通販などの販路を開拓していった。