2015.2.12 20:59
中小型液晶パネル大手のジャパンディスプレイ(JDI)とシャープの国内2社が、中国を舞台に展望なき消耗戦に突入している。世界のスマートフォン市場で小米科技(シャオミ)など中国メーカーが台頭し、液晶各社の値引き競争が激化。国内2社はともに平成27年3月期連結決算が最終赤字となる見通しだ。行きすぎた価格競争による共倒れを危惧する声もあがっている。(黄金崎元)
JDIは12日、27年3月期の最終損益が121億円の赤字(前期は339億円の黒字)になるとの見通しを発表した。中国向け液晶の単価下落や販売減に加え、米アップル向けの納入が遅れたのが響いた。
業績悪化の最大の要因は、中国メーカー向け営業の遅れだ。これまで中国向けではシャープがシャオミ向けの取引を拡大し、業績を伸ばしてきた。対抗するJDIは液晶の単価を引き下げ、シャオミからの受注に成功した。業界では、大塚周一社長の号令で決まった「大塚価格」だと指摘する声もある。
大塚社長は12日の会見で「無理をして注文を取ることはない」と述べ、あくまで高価格帯の供給にこだわる姿勢を示した。ただ、競争激化で単価が下落しているのは間違いない。受注の一部を奪われたシャープは27年3月期の最終損益が黒字予想から一転、300億円の赤字(前期は115億円の黒字)に追い込まれた。