【高浜原発が審査合格】福島第1原発と同型 BWR再稼働の遅れは景気に逆風

2015.2.12 20:53

高浜原発3号炉・4号炉の審査書案に対する意見募集の結果などについて話し合う原子力規制委の田中俊一委員長(左端)ら=12日午前、東京都港区(寺河内美奈撮影)

高浜原発3号炉・4号炉の審査書案に対する意見募集の結果などについて話し合う原子力規制委の田中俊一委員長(左端)ら=12日午前、東京都港区(寺河内美奈撮影)【拡大】

  • 高浜原発3、4号機が新規制基準に適合しているかを審査する原子力規制委=12日午前、東京都港区
  • 関西電力高浜原発。手前から4号機、3号機、2号機、1号機=2014年11月、福井県高浜町

 新規制基準への適合が認められた関西電力高浜原発3、4号機(福井県)。九州電力川内原発1、2号機(鹿児島県)に次ぐ「合格」だが、いずれも加圧水型軽水炉(PWR)で、福島第1原発と同じ沸騰水型軽水炉(BWR)の審査は進んでいない。原子力規制委員会に審査を申請している計14原発21基のうち、BWRは9基。これらの再稼働が見通せなければ火力発電向け燃料費が膨らみ、電気代の値上げを通じ家計の負担が増しかねない。

 高浜や川内に次ぐ再稼働の3番手に有力視されるのは、関電大飯原発3、4号機(福井県)、四国電力伊方原発3号機(愛媛県)、九電玄海原発3、4号機(佐賀県)など、いずれも申請が早かったPWRだ。

 これに対し、BWRは事故時に格納容器を守るため、放射性物質をこし取りながら排気する「フィルター付きベント設備」の設置が必要なため、「軒並み申請が遅れた」(大手電力関係者)とされる。

 ただ、東京電力柏崎刈羽原発6、7号機(新潟県)など申請中のBWRの出力は9基合計で約930万キロワットにも達し、再稼働できなければ燃料費が拡大し、電気料金の再値上げが広がりかねない。東電は仮に原発が再稼働できなければ、「28年3月期は(黒字化の)見通しがたたない」(数土文夫会長)とし再値上げの可能性を示唆する。

 すでに、北海道電力が昨年11月に再値上げに踏み切り、関電も今年4月の再値上げを計画中だ。

 第一生命経済研究所の永浜利広主席エコノミストによれば、全国で電気料金が2割上がれば、国内総生産(GDP)を初年度は0・2%、2年目に0・4%、3年目に0・5%押し下げると試算する。原発再稼働の遅れは日本経済に大きな逆風となる。(大柳聡庸)

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