自動車大手7社の平成26年4~12月期連結決算が9日、出そろった。営業利益は、タカタ製エアバッグのリコール(回収・無償修理)費用などがかさんだホンダを除き、6社が増益となり、うち5社が過去最高になった。好調な米国販売や円安が業績を後押しした。ただ、国内市場は消費税増税後の販売不振が長引く。中国やロシアなど新興国販売にも陰りが見えており、先行きの懸念要素となっている。
「米国での収益レベルに満足はしていない。台数も利益率もさらに高まると期待している」
日産自動車の田川丈二常務執行役員は9日の会見で強気の見通しを示した。4~12月期の米国販売は前年同期比10・9%増の103万台で過去最高になった。米国市場は景気回復や原油安を背景に拡大が続き、利幅の大きい大型車やスポーツ用多目的車(SUV)の販売が伸びている。
円安も追い風だ。輸出を後押しし、各社が海外で稼いだ利益も膨らむ。円安によりトヨタは営業利益が前年同期に比べて2150億円、富士重工業は621億円押し上げられた。
ただ、通期の営業利益見通しを上方修正したのは、トヨタ、日産、富士重の3社にとどまる。不安要素は国内と新興国での販売だ。
国内市場は増税に伴う駆け込み需要の反動減が長引いている。トヨタとホンダ、富士重は通期の販売台数見通しの下方修正を強いられた。三菱自動車幹部は「消費税だけでなく、構造的な問題があり、人口が減って、厳しい市場になっている」と打ち明ける。
拡大が続いた中国も伸び悩み始めた。ホンダは「中国などその他地域」の通期販売見通しを従来予想より8万5千台引き下げた。値引き競争が激しく、新型車を投入したが「思うように販売に結び付けることができていない」(幹部)ためだ。日産も中国の販売計画を4万8千台減らした。
また、ロシアではウクライナ情勢をめぐる欧米の経済制裁や原油安で市場環境が悪化した。さらに、ルーブル安が営業利益を押し下げる要因になる。新興国販売の先行きには、不安材料が山積している。