□シークエンス代表・LOGOSインテリジェンスパートナー・三浦健一
■カジノとパチンコ、問われる「整合性」
カジノ法制化の大きなうねりのなか、おそらく通常国会での予算案審議可決のあとで、再提出されたIR推進法案の審議が行われる可能性は高く、そうなれば昨年以上に、推進法案でのカジノと同じ民設民営であることからパチンコの換金に世論の矛先が向けられることは必至である。カジノとパチンコが同期で議論されると、間違いなくカジノが刑法第35条の特別法で賭博罪を阻却することと、パチンコが刑法第185条の但書に依拠して容認されていることの整合性が問われる。刑法賭博罪自体の法規範が大きく問われることになるのは、すでに昨年にも指摘したことである。
世論の反発とこの法の整合性議論のなかで、「直ちに違法となるものではない」の行政解釈がどこまで通用するかが懸念される。すでにパチンコの換金がグレーなもの、違法ではないのかという認識は世論に浸透しているといえ、その責任は三店方式の透明化、正当化の努力をなかば放棄してきた業界自身にあるといえる。
一方、依存症対策もキーワードになる。浜田和幸議員が昨秋提出した「ギャンブル依存症に関する質問主意書」。その1項目は「(厚労省調査を踏まえて)突出した日本のギャンブル依存症の割合について、問題認識や改善策を含めて政府の見解を示されたい」だった。この質問に対し、回答書ではギャンブル依存症を含む依存症の治療、回復支援を目的とする「依存症治療拠点機関」設置運営事業を新たに実施するなどの取り組みを実施、引き続いて依存症対策を推進すると記述。とくに「適切な治療を受けられるよう必要な環境を整備することが喫緊の課題」との認識を示している。