2015.1.10 05:00
LOGOS/ワールド・ワイズ・ジャパン代表、LOGOSプロジェクト主幹・濱口理佳【拡大】
□ワールド・ワイズ・ジャパン代表 LOGOSプロジェクト主幹・濱口理佳
日本におけるカジノ導入が世間をにぎわしたことを背景に、パチンコホールの精神的二極化が強まった気がしてならない。大別すると、一つはカジノ導入に伴う環境変化、いわゆる換金の合法化はじめ法的な影響、市場への影響を真摯(しんし)に捉えて、自身の業と企業の存続に向けたビジョンを積極的に導き出そうとする企業群。もう一つは「カジノが導入されたところで、立地も客層も違うから関係ない」と、その社会的影響を軽視、もしくは「成り立たなくなればそこまで」と業や企業の存続に無関心な企業群。この志向の格差がさらに明確化されたと思われる。
これは、いわゆる大手と中小・零細という企業規模により分かれるものではなく、サスティナブルに視点を置いた業や企業の存続に視点を置いたビジネスを展開しているかどうかで判別される。分かりやすい例として従業員の雇用を挙げれば、彼らの生活に対し責任を感じている企業と、そうでない企業。もっと簡潔にいうと、CSRやCSVを理解している企業と、そんなものはもうかってからの話、と曲解している企業の違いとも解釈できる。
昨年末、オーストリアのスロットマシン(民営の換金可能なゲーム)において、その依存症患者に6500万円の返金を裁判所が経営企業に求めたとのニュースがあったが、裁判では「カジノとは違い、ウィーンではスロットマシンがある部屋への立ち入りを禁じることができない。スロットマシンはガソリンスタンドなど、街の至る所に設置されている」と、“存在すること”に対する責任が問われた。