【ウーマンシップ】ファーメンステーション・酒井里奈社長 (1/4ページ)

2014.12.29 05:00

 ■コメからエタノール生成、商品化

 コメによって作られたエタノールを原料とする高級タイプの洗顔せっけん、消臭スプレーなどを取り扱う店舗が広がっている。原料を製造し商品化に取り組むのはファーメンステーションの酒井里奈社長。都市銀行でプロジェクトファイナンス業に携わったこともある、異色の経営者だ。

 ◆卒業後は銀行入行

 大学の就職活動では外国に憧れ「貿易を振興させたい」といった思いから、大使館などへの就職を希望していた。しかし、新卒の採用枠はなくリクルーターの薦めによって富士銀行(現みずほ銀行)に就職する。虎視眈々(たんたん)と海外ビジネスにかかわるチャンスをうかがっていたが、入社3年目の1997年にその機会が訪れた。国際交流基金に出向したのだ。

 仕事はNPO(民間非営利団体)の支援など。当時の日本はNPOの夜明けを迎えた頃で、海外の視察を通じ「底上げが必要」だと痛感し研修プログラムの策定に取り組んだ。仕事は充実し、ついには“ソーシャル熱”を発症してしまう。

 2年間の出向を終えた時点で「退職してNPOの世界に本格的に足を踏み入れよう」と思ったが、「食べることはできない」と周囲に説得されてふみとどまった。新たに配置されたのはプロジェクトファイナンス部門。M&A(企業の買収、合併)をはじめさまざまな仕事に携わった。当時の部長は女性。多くの機会を与えてくれ充実した日々を送っていた。

 ただ、ソーシャル熱は冷めなかった。国際交流基金時代の友人から「地球温暖化問題に取り組んでいる」といった刺激的な近況が寄せられていたからだ。これを受けて「再び皆と一緒に仕事したい」といった思いが募るようになる。結局、退社に踏みきってベンチャー企業などを経てドイツ証券に勤めていた。

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