財務省が23日に実施した短期国債の入札で、平均落札利回りが初めてマイナスとなったことを受け、麻生太郎財務相は24日の記者会見で「別におかしくはない」とした上で、「(金融機関は)資金需要がないとなれば、いろいろ考える。知恵の出し方の話ではないか」と述べた。マイナス金利となった理由や背景などをQ&Aでまとめた。
Q 財務省が実施した27日発行の短期国債の金利が初めてマイナスになった
A 銀行や証券会社などの金融機関を対象にした、償還までの期間が3カ月の短期国債の入札が23日に行われ、5兆7100億円の発行予定額に対し、52兆1052億円の応札があった。このうち約3兆円分は、国に利子を払ってでも買いたいという応札。この結果、平均落札金利がマイナス0・0037%になった。
Q マイナスになったとはどういうことか
A 100円で償還される国債に0・37銭の利子をつけて買うということ。つまり、お金を借りる立場の政府が、借金をするにもかかわらず利息までもらえる異常事態で、金融機関は買えば損失を被ることになる。
Q なんで損失が出るのを分かっていて、国債を購入するのか
A 短期国債は、売買に時間がかかる不動産などと違い、信用力の高さもあって換金性にすぐれている。日本銀行からお金を借りる場合や、金融機関同士が取引する際の担保にもなる。金融機関は一定の量の国債を手元に置いておく必要があるので、マイナスでも買っておきたいというわけだ。
Q 損をしてでも、買う理由が分からない
A 現在、市中にお金を回りやすくして、景気を刺激する政府の方針のもと、日銀が市場で大量の国債を買っている。国債の7割程度を日銀が買っているともいわれ、国債の品薄状態が続いてる。日銀は、金融緩和政策の維持を目的に、マイナス金利でも国債を買う姿勢を変えていない。金融機関は、日銀に高く売れることを見越して、買っているというのが背景にあり、損をするとは言い切れない。
Q 生活への影響は何か考えられるか
A 預金金利が一段と下がる可能性もある一方で、長期金利が上がりづらくなることも予想される。住宅ローンなどは借りやすい状況がしばらく続くのではないかとの指摘もある。