トヨタ自動車が燃料電池車(FCV)の発売時期を繰り上げ、12月にも販売を開始するとの情報が飛び交っている。エコカー市場をリードしてきたトヨタが世界に先駆けて市販するFCVだけに注目度は高い。一方で苦戦が続いていた電気自動車(EV)も、独フォルクスワーゲン(VW)の参入表明するなどここにきて再び脚光を浴び始めている。米ゼネラル・モーターズ(GM)や韓国・現代自動車、中国勢も意欲をみせるが、「トヨタ、VWの周回遅れ」(関係者)との指摘も。次世代エコカーを制するのはトヨタか、VWか…。
建前は「全方位」。本命は「FCV」
トヨタが11月18日にも詳細を発表するFCV。1回の水素補給で700キロ前後走行でき、補給時間も数分で済むとみられる。価格は700万円前後だが、国の補助金などを差し引けば購入者の負担額は500万円程度の見込みという。商品名は「ミライ」となる見通しだ。
トヨタはエコカー戦略について常に「全方位で対応する」と説明している。実際、FCVだけでなく、10月19日には中国の合弁会社が来年からEVを販売すると発表するなど、EVビジネスにも意欲をみせる。しかし、業界内では「本命はFCV」との見方が大勢を占める。