国内新車販売の回復の遅さが市場懸念として台頭している。消費税率引き上げにも関わらず国内新車販売は堅調という、従前の楽観論を撤回し、先行きを一段と厳しく見通さなければならない状況だ。
もともとの楽観論の根拠は、(1)エコカー減税の拡充効果(2)株高、賃金上昇による消費者マインド好転(3)巨大な買い替えの母数の掘り起こし-の3点にあったわけだ。しかし、アベノミクス効果の停滞に応じ、消費者マインドの好転は遅れぎみ、連続した買い替え促進の効果も息切れの様相を呈してきた。実に、嫌な展開に向かい始めている。
月次販売台数を追えば、それほど悪くないと感じるかもしれない。国内新車販売は、駆け込みと反動減の両方を含む1~9月で前年同期比6%増、反動減のみを受ける4~9月(年度上期)累計で3%減にとどまる。しかし、実需動向は非常に芳しくなく現場は火の車のようだ。
販売台数は、消費者が登録(軽自動車は届け出)手続きした台数で、完全に実需と一致しない。消費税増税後の上期国内販売台数は3%減にとどまっていても、ディーラーの受注台数は前年から約15%減少したと推定される。受注台数は6月頃に一旦浮上した後、勢いは失速。増税後の反動減は予想よりも厳しく、回復時期が見えない。
上期の国内販売台数が微減にとどまった理由は、3月末の大量の受注残が販売へ転換したことがあるが、しかし受注残は6月でほぼ消化済みだ。上期を通じて表面化してきたのが、軽自動車を中心に「自社登録」(ディーラー自ら登録し新古車として販売する行為)が横行していることだ。