日本経済が大きな分岐点に差し掛かっているようだ。日銀が1日に発表した9月の全国企業短期経済観測調査(短観)では、消費税増税の影響が続く非製造業と、最近の円安の恩恵を受ける製造業とで景況感に明暗が分かれた。一方、同日の東京外国為替市場では一時1ドル110円をつけ、行き過ぎた円安への警戒感も強まる。安倍晋三首相は同日の経済財政諮問会議で国内景気に関し、「この夏、一部に弱い動きがみられ、今後どう回復していくか十分に注視していく必要がある」と述べた。
「ポジティブサプライズ(うれしい誤算)だ」。9月短観についてエコノミストはこう口をそろえる。民間調査会社は最近の経済指標から大企業製造業の業況判断指数(DI)が6月から2ポイント下落すると予想していたが、ふたを開けてみれば1ポイント上昇したからだ。
ただ、今回の短観は円安による恩恵の差異で、業種ごとの景況感の違いが浮き彫りになったという側面が強い。「自動車」の業況判断DIは7ポイント上昇。国内新車販売台数は3カ月連続で減少しているが、海外販売は好調で、円換算で海外収益が膨らんで企業マインドは落ちなかった。円安がプラスに働く「非鉄金属」も21ポイントと大幅改善を示した。