2014.8.25 05:00
■眠るビル改修需要掘り起こす工夫
オフィスビルなどの窓が、内側からガラスを貼り付けるだけで遮熱・断熱性の高い「エコガラス」に変身-。旭硝子の後付け施工のエコガラス「ATTOCH(アトッチ)」が、既存ビルの省エネ対策として脚光を浴びている。2012年10月の発売からじわじわと普及し、試験施工などの依頼は常時約300件に上る。13年度には、一般財団法人省エネルギーセンター主催の省エネ大賞(製品・ビジネスモデル部門)を受賞した。潜在的な新規市場の開拓への挑戦が実を結びつつある。
◆「開けられぬ窓」に注目
「ビルの開閉できない固定された窓ガラスをエコガラスに替えるには、外に足場が必要でコストがかかるし、工事中は室内が使えない。だったら、内側からガラスを貼り付けて複層にすればコストや工期の課題を解消できると考えた」
旭硝子グループで国内の建築加工ガラスを担うAGCグラスプロダクツの岡賢太郎・アトッチ事業推進本部営業部長は、考案の理由をこう振り返る。
岡氏は09年1月、営業マンとして顧客のビル管理会社から窓の改修を依頼された。だが、最初からエコガラスを組み込める新築と違い、既に固定されて開けられないビルの窓を簡単に改修できる製品は当時なかった。その際に浮かんだのがアトッチの原型となるアイデアだった。
同3月には商品企画や技術、施工など部門横断の「ビル省エネ改修市場開拓チーム」を12人で立ち上げ、市場調査を開始。ビル会社への聞き取りのほか、首都圏のオフィスビルやホテルなど150物件の外観を観察し、「圧倒的に固定の開けられない窓が多かった。ビル改修には大きな需要が眠っていると確信した」(岡氏)。