国内の広告市場規模は約6兆円だが、「企業は広告より、ニュースに載りたいという風潮が広まっている」と語るベクトルの西江肇司代表取締役。戦略PRを標榜(ひょうぼう)し、スマートフォン(高機能携帯電話)の普及やソーシャルメディアのユーザー急増など目まぐるしい変化の中で、企業のPR需要を取り込み、急成長している。さらにPRを武器に有望なアジアの商材を売り出す新規事業にも乗り出した。
--日本の広告とPRの市場をどうみているのか
「広告は宣伝予算への置き換えが進んでいる。企業は世の中にモノ(商品やサービス)を広めたいとき、広告よりニュースに載りたいという要望を強めている。スマホの登場で余計広告はやりにくい時代になった」
--ネット広告は伸びている
「ネット広告は普通に伸びていくが、それもやはり広告。企業は情報をニュースに変えて、スマホに流し、関連の動画が映ることを望んでいる。ソーシャルメディアでも、そこはPR会社の仕事だ。予算も広告に比べて桁違いに安い。広告代理店も優秀な人材が多いから急には変わらないが、すでに海外では戦略PRが主流になっている。日本も変わっていくだろう」
--ベクトルの強みは
「企業が新規事業を始めるとき一番効率良く世の中にモノを広められるのがPRだ。まず、ニュースリリースを作って流す。当社はそこに特化している。企業がいきなり広告を打つことはない。企業が必ず最初にやることを基本の事業として押さえていく。すでに大手のPRはほとんど手がけておりPR業界で(広告業界世界トップの)英WPPのようになりたい」
--当面の目標は
「中期目標として、営業利益で新規事業20億円を合わせて50億円を掲げている」