2014.8.5 06:48
「新幹線の品川駅は社長在任中に開業した。品川駅周辺の土地は、JR東日本が国鉄から簿価で引き継いだものだったので、品川駅の建設に必要な用地を簿価で譲ってほしいと頼んだが、なかなかそうもいかず、結局、時価で買うことになった。ただ、バブル崩壊後のタイミングと重なり、取得費用は抑えることができた。品川駅開業によって利便性は大きく高まり、東京駅と品川駅を合わせた東海道新幹線の旅客は1日に2万人増えるなど、品川駅の建設に要した費用も短期間で回収できた。また、品川駅開業が呼び水となって港南口を中心とした一帯の地域開発が加速するなど、地元の方々にも喜んでもらえたと思う」(森田晶宏)
【プロフィル】葛西敬之
かさい・よしゆき 東大法卒。1963年日本国有鉄道(国鉄)入社。職員局次長などを経て、87年分割民営化で発足したJR東海の取締役総合企画本部長。90年副社長、95年社長、2004年会長。14年4月から代表権を持つ名誉会長。14年春の叙勲で旭日大綬章を受章した。73歳。東京都出身。