2014年1~6月期(上期)の自動車メーカー世界3強の世界販売台数は、トヨタ自動車が509.7万台(前年同期比3.8%増)と首位を維持したが、2位の独フォルクスワーゲン(VW)が急速に台数を伸ばして500万台(商用車子会社2社除く)に近づき、3位の米ゼネラル・モーターズ(GM)も490万台超と、その差が際どく詰まってきた。
戦略として販売台数を追求しない現在のトヨタにとって、順位争いなど雑音にすぎないかもしれない。もっとも、生産能力増強投資を避けてきたトヨタの台数成長の鈍化が避けられず、一方、中国市場の大膨張を取り込むVWが新たな業界のリーダーに躍り出るシナリオは濃厚だ。逆転劇は新たなサプライズではないだろう。
改めて世界トップに初めて欧州メーカーが躍り出るということは自動車産業にとって象徴的な出来事と考える。1990年代以降の欧州自動車産業の戦略が、ついにグローバルな競争に大きな転換を引き起こしたわけである。