「究極のエコカー」といわれる燃料電池車。世界の自動車メーカーが市販車開発にしのぎを削る中、トヨタ自動車が今年度中に約700万円で発売すると発表し、話題を集めている。先日、トヨタの販売店でなじみの営業マンと次回の車検について話していると、できたてのパンフレットを広げながら「すでに燃料電池車の引き合いを数件いただいています。遠藤さんも来年いかがですか?」。わが家じゃ来年なんて無理な話だが、夢のクルマがちょっぴり身近に思えてきた。
水素が燃料の燃料電池は、家庭用コージェネレーションシステム「エネファーム」で先行したが販売数はまだ7万台程度という。燃料電池車は、水素を充填(じゅうてん)する水素ステーションの整備、車両や水素の低価格化など普及への課題を抱える。経済産業省は6月に作成した「水素・燃料電池戦略ロードマップ」で、エネファームや燃料電池車の普及、大規模な水素供給システムの構築により、2040年ごろに二酸化炭素(CO2)を排出しない「水素社会」の実現を目指すと打ち上げた。
国を挙げた「水素社会」への取り組みは始まったばかりだが、福岡には10年前の2004年8月に水素エネルギーの開発・普及を目指すわが国初の産学官連携組織「福岡水素エネルギー戦略会議」が発足している。
事務局を兼務する福岡県によると、水素エネルギーへの企業の関心は年々高まっており、戦略会議には現在、700超の企業・機関が参加しているという。九州大学の水素エネルギー国際研究センターなどを核にした研究開発や、エネファームを導入した住宅団地「水素タウン」の整備、燃料電池車の実証試験「水素ハイウェイ」構築などを進めてきた。また、九大には水素関連技術開発を担う人材育成の拠点も設けている。