【続岐路に立つ 防衛産業】(下)
政府は防衛産業の国際化に向けた競争力強化の一環として、防衛と民生向けのどちらにも利用できる「デュアルユース」技術の開発に本腰を入れる計画だ。米国を手本に、産学官が技術開発で連携するオールジャパン体制の構築を目指す。実現には課題もあるものの、関係者の間では、航空宇宙分野を新たな成長産業に育成できるとの期待も高まっている。
インターネットや衛星利用測位システム(GPS)、燃料電池、それに米アップルのスマートフォン(高機能携帯電話)「iPhone(アイフォーン)」に搭載された「SIRI(発話解析・認識インターフェース」。これらはすべて、国防技術強化を狙いに1958年に発足した米国防総省高等研究計画局(DARPA)が開発したものだ。デュアルユースとして今や世界中で活用され、米国の科学技術や産業競争力強化に大きく貢献している。
少ない予算の壁
日本もDARPAをモデルに内閣府の研究開発制度「革新的研究開発推進プログラム(ImPACT)」を始動。ただ、6月24日に発表された第1号の研究テーマ12件のうち、防衛技術とのデュアルユースは防弾チョッキへの使用も想定した「素材産業革命」1件だけだった。