米国で急増している特許をめぐる訴訟への対策として、キヤノンや米IT企業のグーグルなど6社は10日、共同で訴訟を防ぐ仕組みを作る協定を結んだと発表した。自らは発明せずに第三者から特許を買い取り、和解金目当てに組織的に特許裁判を起こす専門会社、いわゆる「パテント・トロール」による訴訟に対する防衛が目的。
6社は連合で「LOTネットワーク」という組織を設立し、キヤノンや米グーグル、独ソフトウエア大手SAPのほか、新興企業などが参加した。協定の締結企業が外部に特許を売却する際、同連合の他の参加企業がその特許の使用権を取得し、専門会社などから訴えられないようにする。参加企業数が多いほど、対象特許数が増え、パテント・トロールなどへの牽制(けんせい)効果が高まる。今後、幅広い企業に参加を呼びかけ、組織拡大を急ぐ。
日本企業も米国で特許訴訟に巻き込まれる事例が増えているといい、訴訟対応に巨額の費用と時間がかかることから、本業に専念したい企業にとって同連合への参加は有益とみられる。
キヤノンの長沢健一取締役は「(今回の)ネットワークが広がることで、特許システムが健全な姿を取り戻すことを期待している」と語った。米国では、特許訴訟件数が昨年、過去最多の6千件以上に上り、3年間で倍増した。このうち約7割は和解金目当てのパテント・トロールが原告になっているという。