水素と空気中の酸素との化学反応で発生した電気でモーターを回す燃料電池車(FCV)を、トヨタ自動車は今年度内に、ホンダは来年中に国内外の市場に投入する。ガソリン車のように排気ガスを出さず、走行中に水しか排出しないため「究極のエコカー」とも呼ばれるが、車体価格が700万~800万円と高額になるうえ、燃料の水素を補給する「水素ステーション」が全国に6月時点で19カ所しかないのが実情だ。厳しい規制や高額投資がインフラ整備を遅らせる要因といい、普及の壁となっている。
1千万円を切る価格
トヨタは年度内に日米欧でセダン型のFCVを発売する計画だ。価格については「1千万円を切るレベルのめどは立った」(トヨタ広報部)と説明。700万円程度に設定すると発表したが、ガソリン車よりも割高だ。
ホンダはすでにセダン型の「FCXクラリティ」を開発。平成20年、官公庁や自治体向けに実用化に向けた実験車として月額84万円でリース販売(3年間)をスタートしたが、1台当たりの負担は3千万円以上になる計算。来年、この実験車をベースにしたFCVを市場に投入する予定だが、「普及のためには1千万円は切っていきたい」(ホンダ広報)といい、700~800万円とする考えだ。
割高になるのは、動力源の燃料電池を高性能化するためのコストがかかるのが原因。価格を引き下げるためには、量産化によるコスト削減が必要となる。