【ビジネスアイコラム】
トヨタ自動車が新型燃料電池車「FCV」を日本で2014年度内に、欧米では、15年夏に一般発売を開始する。注目の販売価格は1億円以上とされたかつての価格から700万円程度に大幅に引き下げる。一定の補助金があれば、いよいよ燃料電池車が現実的に一般消費者の手が届くこところへ近づく。
燃料電池自動車は、水素を燃料とし、酸素との化学反応で生じる電気を動力源とする車。水素はガソリンの代替エネルギーの本命といわれてきた。思い起こせば、「21世紀に間に合いました」という宣伝コピーで世に送り出された世界初の量販ハイブリッド車(HV)「プリウス」が登場したのが1997年。急速に普及したようでも、現在の存在感を示すのに実に17年の時間を要している。
燃料電池車が当たり前のように走りまわるには相応の時間を必要とすることは間違いないが、今、この製品を世に問うのは大きな意義がある。第1に、水素を重要な2次エネルギーに推進する、いわゆる「水素社会」構築に向けた社会コンセンサス形成を促すこと。