NHK放送技術研究所の研究成果を展示する「技研公開」が5月29日~今月1日、東京・砧の同研究所で開かれた。今年は2020年東京五輪での普及が期待される「8Kスーパーハイビジョン」の展示が目玉。2日に試験放送が始まった「4K」を超える高精細放送が現実に近づく一方、8K以降の「未来のテレビ」を模索する研究も続いている。(三品貴志)
会場では高感度8Kカメラで撮影されたミラノ・スカラ座のオペラ「リゴレット」の一部が上映。舞台の全景を撮った映像だが、衣装や美術が細部まできめ細かく映し出され、実際に劇場にいるかのような臨場感を味わえた。
8K関連の展示は全体の半数近くに及び、カメラから伝送技術、音響など多種多彩。藤沢秀一所長は「8Kに必要な技術をあますことなく展示した。東京五輪が開かれる2020年の放送の形を予感できるはずだ」と自信をにじませた。
「フル8K」視野に
機材は高性能、小型化が進み、8Kの「フルスペック(最高仕様)」を視野に入れたものが目立った。昨年も展示された小型カメラヘッドは、以前の倍の毎秒120フレーム(画像枚数)での撮影が可能になり、動きの速い被写体をより滑らかに描写できるようになった。また、新たに開発した世界最高1億3300万画素のイメージセンサーによって、対応カメラのさらなる小型化が期待できるという。