□平出淑恵(酒サムライコーディネーター)
公益社団法人日本観光振興協会は、地方公共団体、観光協会、観光関係の中央団体、旅行、鉄道、航空、観光関連の企業など全国約800の団体・企業を会員に持つ、観光振興の要だ。観光立国実現を目指して各種事業を手がけ、中でも将来を担う人材の育成事業は、大きな柱の一つと位置付けている。
「ツーリズム産業」について学ぶ機会を、産学が連携して提供することを重視し、2009年から各地の大学で、理論と実務の両面から産業の実態を理解し、今後のあり方を論じることを目的とした寄付講義が開かれてきた。客員講師には、観光に造詣の深い有識者やツーリズム産業界のトップマネジメントが招聘(しょうへい)されている。
筆者は光栄にも、この寄付講義の講師を依頼され、9日に京都大学で「Sakeから観光立国」をテーマに講演した。長年、国際線の客室乗務員として観光産業に従事してきた筆者には感慨深い経験だ。
経済大国となった日本は、政策としてアウトバウンド(海外旅行)を推奨してきた。一方で21世紀は世界的規模で観光交流(ツーリズム)が大きく注目され、政府も国策として外国人観光客を誘致する「ビジット・ジャパン・キャンペーン」を展開。訪日外国人旅行者も2013年に年間1000万人を初めて突破した。
20年には東京五輪の開催を控え、少子高齢化によって人口が減少する中での地域活力の再生を始め、わが国が抱える21世紀の諸課題に対して大きな役割を担う、ツーリズム産業が注目されている。